スマホアプリのプロデューサーとして活躍されているPlayful Workerを名乗るイセオサムさん。日本テレビ放送網にてズームインスーパーの制作に携わった後、オプトでモバイルのメディアプランニングに従事。2008年にHALOを共同創業。現在はオモロキ、狩猟社、ローディー3社の取締役、PLAY株式会社 CEOと実に多彩な顔をお持ちです。

プロデュースされているサービスは、3秒で笑える、日本最大級の大喜利アプリ「写真で一言ボケて(bokete)」や、シェアしたくなるニュースViRATES(バイレーツ)など、起業されてから9年で10種類以上にも及ぶといいます。アイデアを現実に変える卓越した力とアントレプレナーシップに満ちたイセさん。どのように時代を読み、発想力を広げてこられたのでしょうか? そしてPlayful Workerという特殊な肩書に込められた思いについてもお聞きしました。

 

――イセさんは現在4つの会社で役員を務められ、常に新たな挑戦をされていますよね。

 

おもしろい仲間と一緒に働くということを重視した結果、複数の会社にまたがって同時並行で働いているという感じですね。僕が一貫して興味を持っているのは、何か想いやおもしろいアイデアを持っている人がやりたいことを実現するお手伝いをすることです。実はあまり会社ごとに気持ちを切り替えてはいなくて、たとえ1社で働いていても複数のプロジェクトを同時に進めているのことって普通にあると思うので、それとほぼ同じ感覚なんです。

 

――これまで手掛けたプロデュースの中で印象に残っている事例は何ですか。

 

インパクトという観点でいうと、オモロキで運営している「写真で一言ボケて(bokete)」(以下、ボケて)ですね。ウェブやアプリからボケを投稿できる、ユーザー参加型のサービスです。笑いの表現から新しいコミュニケーションを提供するというのをめざしています。

ボケてのサービス開始は2008年。僕の同期が運営していたWebサービスで、僕が参画した2012年当時は、まだ大きなヒットにはなっていなかったんです。ちょうどそのころ、インスタグラムに「笑い」の要素があったらもっといいんじゃないか、と思っていたので、このボケてには大きな可能性があると感じていたんです。どうスパークさせようかと思っていた頃、ちょうど日本でもスマートフォンが本格的に広まり始めていました。この流れに乗って、アプリとして展開すれば一気に広まるのでは、と気づきました。その後、ユーザーの反応をもとにアプリの改善をくり返し、2017年2月時点では500万ダウンロードを突破するまでに至りました。ボケてのプロデュースにおいてはまさに、才能あふれるインディーズバンドのプロデュースを手掛けているようなおもしろさを感じていましたね。

 

――これほどの大ヒットになった勝因は、ほかにも何があったとお考えですか。

 

タイミングを味方につけられたことにくわえ、お笑いの感度が高い人向けだったサービスを、ライトなユーザーにも広めていくという点を意識したことでしょうか。僕はテレビ業界にいた経験があるのですが、深夜番組を昼間の番組にもってくるときの感覚と近かったですね。もちろん、サービスのエッジがそがれることにはなりますが、老若男女に使ってもらえる。もちろん「わかる人にだけわかればいい」というスタンスでとがったサービスを追求するのもアリですが、僕はそれほどアーティスト気質が強くなくて、価値観が普通の人に近い。だから大衆にウケるサービスを世に出していくほうが、社会のためにもなるんじゃないか、と思っています。

 

――イセさんは時代を読む力をどのように磨いておられるのでしょうか。

 

常日頃から「今こういう動きが流行になりつつあるよね」「今後シンギュラリティが到来すると人間ってこんなふうになるんじゃないか」などと、仕事仲間や友人たちと話しているんです。人間社会の未来を予測するといったテーマが大好きで。

エンターテインメントって、存在しなくても生きていくのに困らない娯楽だととらえられがち。ですが、本当は人間の本質に根差した必要不可欠なもの。例えばボケが生み出す「笑い」も、健康を維持するうえで必須といっていいものですよね。

つまりエンターテインメントを考えるベースは「人間」にあって、それを社会の変化とともに見据えていくことが大事になると考えています。そして、こういうテーマで仲間と話すうちに、自然とサービスのコンセプトに関するアイデアが浮かんでくるという感じですね。

今後AIやロボットが生活に浸透してくると、人間が担う作業のほとんどがAIなどに代替されていく。すると人間が担う仕事には、楽しみや創造、遊びのような要素が強くなると思うんです。人間を人間たらしめるものは遊びや趣味なんじゃないかなと。たぶんロボットは自発的に遊んだりしないでしょうし。こういうことを真剣に考えるのは、僕のまわりに哲学的なことを考える人が多いというのも影響していますが(笑)

 

――趣味や遊びが人間たらしめる要素という考え方、はっとさせられました。発想力や企画力を磨くために心がけていることは何ですか。

 

「本を読む、旅をする、人と会う」の3つを大事にしています。24、25歳の頃は年間100冊ほど読書して、ブクログなどのサービスで書評を書くようにしていましたね。

旅に関しては、昨年は、ドバイ、インド、タイ、韓国に行きました。感覚値ですが、2カ月に1回くらいのペースで旅に出たほうが、自分の発想も広がりやすく、仕事にも良い影響を与えてくれると感じます。そして人との会話からアイデアが生まれることが多いので、積極的に人に会いに行くようにしています。

あとは、「アイデアは移動距離に比例する」という言葉があって、まさにその通りだなと感じています。交通機関を利用していても、移動すればするほど環境がガラッと変化するので色々な情報が自然と五感に入ってきて、ストックされていくんです。

 

後編につづく

misatomatsuoprofile取材・執筆:松尾 美里

日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。本の要約サイトを運営する株式会社フライヤーにて経営者や著者のインタビューを行う。

ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行いながら、「キャリアの棚卸に効くキャリアインタビューサービス」を実施中。ブログは教育×キャリアインタビュー。

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