株式会社インキュビット代表取締役社長 北村尚紀さん

今回インタビューさせていただくのは、株式会社インキュビットを2014年に創業し、代表取締役社長を務める北村尚紀さん。「最高のテクノロジーとデザインで、想像力を影響力に変えていく」。こうしたミッションを掲げ、新規事業専門のITパートナーとして、WEB技術やディープラーニングの技術を用いて、IT事業の立ち上げをサポートしています。IBM Watsonの公式パートナーにもなり、WEBアプリ開発とモバイル開発アプリに加え、チャットボットやAIを用いたサービス開発にも注力されています。

このインタビューでは、北村さんが起業をめざすに至った経緯や、イノベーションが起き続けるエコシステムをつくりたいというビジョンについてお聞きしました。

 

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――北村さんは卓越したエンジニアでありながら、営業力やコミュニケーション力にも長けておられます。エンジニアにも営業力は大事という意見がありますが、どうお考えですか。

 

たしかに営業力自体は大事ですが、そこは自分以外の人との能力の組み合わせ次第かなと思います。僕はどの分野も70点の人間。エンジニアの業務もデザインもビジネスも営業も一通り自分でやれます。ただし、エンジニア一筋の人にはかなわない。とはいえ、どれか一点を極めようとは思いません。なぜなら一人でいろいろやれるのが自分らしさだから。だから、エンジニアとして極めていこうという人は、それに振り切ってもいいのではないかと。自分の足りないところを把握して、それを補える人と仲間になって、その組み合わせで大きな丸を描ければいい。

僕自身も、一人で描ける70点の丸では満足していません。僕たちのビジョンを実現するためには、デザインや営業、財務など各分野で100点の人を集めてこないといけない。そうすれば、組織全体の丸がもっともっと大きくなると考えています。

 

――北村さんはイノベーションを起こすために、どんな要素が必要だとお考えですか。

 

イノベーションを起こすプロセス、つまり影響力のあるアイデアを実行に移すプロセスにおいては、必要な要素が10個あると思っています。まずは、(1)Huge problem(大きな課題)、(2)Radical solution(根源的で応用可能なツール)、(3)Science & technology(先端の科学技術)の3つのグループ。

イーロンマスクのロケットビジネスを例にとりましょう。彼は「人類が100億人以上になると地球に住めなくなるのではないか」という切実な危機感を伴った課題(Huge problem)、SFにふれる中でうまれた「火星移住」という解決策(Radical solution)、そしてそれを実現するための宇宙工学や物理学の知識という3つを持ち合わせていた。だからこそ、驚異的かつ現実的な(4)Idea(アイデア)を生み出せたんです。

ただし、いくら斬新なアイデアを考えついたとしても、それを実行に移せるかどうかのラインは非常に高い。そのとき求められるのは、当事者意識と使命感を持ってそのアイデアをやり遂げていこうとする(5)企業家精神(Entrepreneurship)と、現実的にそれをどう展開していくかという(6)戦略(Business strategy)にかかっている。そしてこのIdea、Entrepreneurship、Business strategyの3つがそろうと、(7)Mission(使命)が生まれます。これが「何の課題を、なぜ、どうやって解決するのか」にあたります。Missionができると、それに共感して一緒に協力してビジネスを進めていこうという(8)仲間(Team)と、(9)ビジネスを駆動するための資金(Money)が集まってくる。これでやっと(10)実行(Execution)のフェーズに移ることができます。これは、歴史や未来を考えるために約300冊の本を読んだり、色々なビジネスのパターンを調査したりする中で導き出した現時点での研究結果の集大成ですね。

 

――とても勉強になります! 最後に、今後の構想をお聞かせください。

 

インキュビットの事業を軌道に乗せていくことはもちろん、今後は、シンクタンク、起業家を育てる教育機関、研究機関といったエコシステムを構築したいと考えています。それぞれの役割を簡単に紹介します。

シンクタンクは先ほど挙げたHuge ProblemとRadical solutionという「知識」に関する部分、社内外に社会を取り巻く課題や未来にまつわる情報を正しく理解したうえで、啓蒙していく役割を担います。

次に、Entrepreneurshipの中でもより起業をめざす人に向けて、情熱をもとに事業をおこす人材を輩出する教育機関をつくりたいなと。そしてRadical solutionと Science & technologyというテクノロジーに関する領域を束ねるようなR&D(研究開発)機関をつくる。さらには、Business strategy、Money という経済・ビジネスの領域をカバーし、多くの人が起業するのを資金・戦略の観点から促すために、投資機関・コンサルティングの機関を設けるんです。

ではインキュビットはどこに位置するかというと、Mission、Team、Moneyを統合させ、他の会社さんが持ってきてくれたアイデアを「実行」する役割を担います。こうしたイノベーションが起こり続けるエコシステムをつくるという中長期的なビジョンに向けて、まい進したいですね。

取材・執筆:松尾 美里

日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。本の要約サイトを運営する株式会社フライヤーにて経営者や著者のインタビューを行う。

ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行いながら、「キャリアの棚卸に効くキャリアインタビューサービス」を実施中。ブログは教育×キャリアインタビュー。

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