女性として・学生として  起業家として歩む

起業家というとどんなイメージをお持ちですか?

日夜問わず働いて、女性には厳しいのではないか。

やっぱり男性の割合が多いのではないか。

そういったイメージをお持ちの方も少なくはないと思います。

実際、2018年に行われた帝国データバンクの調査を見ても、国内の女性社長の割合は全体の8%弱と、決して多いと言えないのが現状です。2008年に行なわれた同調査で、女性社長の割合が6%程度だったことと比べても、大きく変化はしておらず、経営者は男性が多いのが現状です。

まだまだ女性の割合は少ない起業家ですが、実は女性も活躍しやすい分野かもしれません。

起業したいけど勇気が出ない。女性でもやっていける世界なのかわからない。 そんなあなたを少しでも勇気づけられれば!という思いで、今回は、大学生の時に起業し、現在もさまざまな分野でご活躍されている女性起業家さんにインタビューしました。

家族の形と向き合い続け、働きながらの子育が可能な社会づくりに尽力されている「manma」の代表取締役社長、新居日南恵さんです。

この記事が、一人でも多くの女性、学生、起業を考えている方の一歩を後押しできれば幸いです。


新居日南恵 (におり ひなえ)

”慶應大学1年の時に「manma」を任意団体として設立。 三年後、「manma」を事業として続けていくことを決意し株式会社の形に移行。現在も大学院へ通いながら、日本の家族の形に真摯に向き合う。また、内閣府「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取り組みに関する検討会」構成員や、日本国政府主催WAW!(国際女性会議)のアドバイザーとしても活躍。「manma」では、若者を対象に『家族留学』というサービスを開始。 若者が、子育てをしながら働く家族に一日密着し、将来設計を立てたり、安心して家族が持てる様にサポート”


1. 起業のきっかけ

ー 本日はお忙しいなか、ありがとうございます。それでは新居さん、よろしくお願い致します。まずは、起業されたきっかけについて教えてください。

 高校生の時、震災後に盛り上がったNPO法人など、社会的意義のある事業を行う団体に感化され、社会の課題を解決するために事業をすることに興味を持ちました。その後、社会のために自分自身も何かできないか考えていましたが、大学1年生の時にプロジェクトベースで事業を立ち上げることになりました。

ー 大学1年生の時から事業を立ち上げられていたんですね。

そうですね。

1年生の最初の頃はインターンや塾講師など、色々なことをしていました。その時に、”もっとこうなったらいいのに”とか、”こうしたい!”みたいな気持ちがあるのに、今の立場だとできないことが多いということに気付いたんです。

それで、やりたいことがあるけど組織の中でできないなら、自分でやったらいいんじゃないかと思いました。

私の当時の興味は、「家族」だったんです。家族って人格形成に大きく影響を与えるのに、世の中的サポートがないですよね。両親がハッピーな雰囲気であったら子供たちも楽しく育っていけるのではないかと思います。でも、結婚や子育てをうまく運ぶための情報が少ないから、自分1人で悩まなくてはいけなくなり、辛くなってしまう。さらに、そこで育つ子供達まで辛くなってしまうという悪循環が生まれる。それって、将来的に良くない影響だと思うんです。だから、「家族」というところについて何かできないかと思い、色々なことを試し、最終的に「manma」の『家族留学』にたどり着きました。

当時私は、学生という立場で起業したばかりという事もあって、多くの方々からアドバイスをいただきました。100人いたらみんな違う事を言うくらい色々な意見をもらったんです。ちゃんと社会経験を積んでから起業したほうがいいよとか、本当に色々。でも、どれも正解なんです。みなさんそれぞれのご経験を元にお話ししてくださってますから。

2.学生で起業するということ

ー 実際、学生と言う若い時期に起業されてみてどうでしたか?

よかったですよ。3年間は大学生の期間があって、今も大学院に通っているので、5年半全て学生として事業に関わって来れたわけです。当時は一度就職して、三年経ってからまた起業しますって言っていたんです。でも、ある人に言われたのが、

「26歳になって家族をテーマに起業しても、ユニークさが無い。でも、大学時代に起業して10年間続けられたら、29歳の時、10年間も結婚や子育てをテーマにやってきた人は他にいないから、オンリーワンになれてナンバーワンにもなれる。そうなれれば、何か世の中を変えたいと思った時に影響力を持てる。もし失敗しても、学生時代に頑張っていたことの一つになる。」

と言うことでした。

自分の強みになることを先延ばしにする必要は無いと言う考えが面白いと思いました。

今では、家族の形と5年間も向き合って来た24歳は、この日本には私しか居ないのではないかと思えるくらいになりました。だからこの事業に従事してきてよかったと思えるわけです。事業経験があったらもっと最初から上手くいったのかなと思うことも有りましたが、なかったからこそ上手くいったことも有ります。若い人が少ないからこそ、年齢が強みになったこともあります。例えば、政府が幅広い層の人を対象にした事業を開始した時に、学生であり女性でもある起業家といことで参加できたりなど。若い年齢で事業を始めたことがかえってよかったのかなと思います。

3.一般企業との違い

ー 企業でインターンをされていた感じと、起業された感じとは違うものですか?

ぜんっぜん違います。

やっぱり、起業したら全部自分の責任じゃないですか。失敗しても自分の責任なので、シリアスな状況なんです。それに、行動を起こす前と今とでは、得られる情報の量が違います。ただ単に口で、家族を幸せにできる事業があったら、と言っていただけの時と、実際にその分野の事業に従事しているのとでは全く環境が変わりました。

日本の企業だと、長い間丁寧に積み重ねられてきたルールがしっかり決まっていて、それを変えるのって本当に難しいじゃないですか。でも、自分で会社を立ち上げたらルールって何もないんです。自分たちで形を作っていけるし、見出して行けるというのは本当に面白いですね。

4.起業を考えている女性に向けて

ー 子どもを産むことを躊躇する働く女性ってすごく多いと思うのですが、起業されたほうが家族を持ちやすいと感じますか?

起業も色々あると思うんですけど、『家族留学』の受け入れ先の方々でも起業されている方は結構多いです。

大企業だと、改革はされてきてはいるものの、まだまだ女性や子育てに対して厳しい環境だったりすると思うんです。子供のお迎えで先に退勤しにくかったりとか。成果よりも出勤している時間で評価されることも稀では無いですから。でも、起業家の評価は成果なんです。短い時間で働いていても、成果をあげれば評価される世界が起業です。もちろん起業で成功するためには、エネルギーは必要です。何もしなくてもお金が入ってくる世界ではありませんから。それに、向き不向きはあると思います。例えば、前例が無いところで自ら開拓していくことに楽しさを見いだせるかどうかとか。それから、フリーランスだと自分一人になってしまうので、もっと人と関わりたいと思う人もいるかもしれないです。 でも、起業して半ばフリーランスだけど、チームと仕事をするという形がやり易いという女性は結構いると思います。

ー 時間設計とかもやりやすそうですね!

そういうのは本当にやり易いです。自分で打ち合わせを入れなければ何時に帰ってもいいですし、自宅で働くことだってできます。なんなら海外にいたって仕事ができちゃうんです。日本にいなくてもバレないくらい(笑)電話で打ち合わせとかもできちゃいますから。その代わり、自分で区切りを決めないと永遠に働けるので、休みをしっかり取ることが大事ですね(笑)

ー 色々な団体の調査で、女性起業家の割合が日本でものすごく少ないと書かれてるのを見て、この割合を見てしまうと起業をためらう女性もいるのでは無いかと思いました。実際、体感的な女性起業家の割合はどうですか?

女性の方は、興味のあることで事業をする「スモールビジネス」で起業する方が多い気がするんです。あとは、NPO法人とかも女性の代表は結構いる感じがします。でも、一部上場を目指してスケールを広げていくビジネスは男性が多いと思います。

映画『スタートアップ・ガールズ』の主人公の様な、脇目も振らずに自分の目標に進む激しい起業家を「ブルドーザー系女子」って私は呼んでいます。(この記事の最後に映画の概要を載せております。)この映画の主人公さんの様な女性起業家さんもいらっしゃいますが、そういう方ばかりではないんです。実際は、個人の興味を突き詰めるために起業している女性は結構多いです。

まだまだ男性が多いですが、女性の起業環境は昔より良くなって来ていると思います。

政府が主催している、WAW!(国際女性会議)と言う会議で、インドネシアや日本など世界中の女性起業家の方々とセッションする機会がありました。そこで40代くらいの起業家の方が話されていたのは、昔は電話で自分が社長だと伝えるだけで、すぐに切られてしまう事もあったと言うことです。

でも、30代以下の人たちにはそう言う経験をした人は少なかった。と言うことは、女性の働く環境は少なからず改善されていると言うことです。

でもその上で、なぜスモールビジネスに女性が集まってしまうのかと言うことに関しては、まだまだ検討の余地があると思います。

ー 女性が少なくて苦労されたり、女性だということが不利になったりされた経験はありますか?

無いです!

むしろ、今は女性が少ないから希少価値が高いんです。例えば、世界的な舞台でパネルカンファレンスを全て男性が行なっている国があったら、この国は大丈夫なのかと思われてしまうので、今は国も女性の力を必要としています。女性が政治的、国際的話し合いなどに参加していない状況と言うのが、国として恥ずかしいことであると言う認識が少しずつ広まっています。つまり、過渡期だからこそ、女性が活躍しやすいということもあるんです。女性が少ない社会では、自らスタンダードを作っていけると言う利点があります。

5.最後に

ー ありがとうございました。最後に、これから起業を考えている方々にメッセージをお願いします。

女性が事業を行なったり、世の中の意思決定に関わっていくことはとても重要なことだと思っています。そう言う意味では、女性がスモールビジネスで男性には気づかないようなニーズを見つけて行ったり、インフラ的な物を作り出したりなど、女性が事業をして社会に参加していくこと自体に今、とても意味があるのではないかと思います。だからこそ、女性起業家にとても向いている時代なんです。

興味関心を原動力に、さらに多くの女性が周りの人を喜ばせたり、社会全体に貢献できたりする世の中になれば、とっても理想的な未来になるのではないでしょうか!

6.編集者が感じたこと

インタビューの中で、一つ飛び抜けて印象に残った言葉がありました。

「いつかやりたいと思っていた。なら、今やればいいんじゃないか。」

新居さんが、学生として起業をされた時に思ったことだそうです。人生、タイミングが大事とはよく言われる話ですが、タイミングが良いとわかっていても一歩を踏み出す勇気を持てる人はなかなかいないのではないでしょうか。ならば、その一歩を踏み出す勇気こそが他人と自分を分けるのではないかと、今回のインタビューで実感しました。新居さんの言葉には説得力があり、行動を起こす勇気を与えてくれた、そんなインタビューでした。


今年9月6日に公開される映画『スタートアップ・ガールズ』                 自由な発想を持つ学生起業家を演じる上白石萌音さんと、大企業勤務の真面目な投資家を演じる山崎紘菜さんのダブル主演映画です。笑いあり、感動ありのたいへん見応えある作品となっています。                                          日本初のスタートアップ をテーマにした映画なので、起業の実態を知れること間違いなし!                                          起業を考えられている女性のみなさん、また学生のみなさんにもオススメの映画です!                                          なんと、今回インタビューにご協力下さった新居さんは、この映画制作に関わっていらっしゃいます。撮影前に上白石萌音さんと対談、そしてさらに映画の冒頭にも登場されています!是非、劇場まで足を運んで見てください!     映画の予告編はこちらから!

by Mao Kameyama (Feel free to connect on LinkedIn)

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