Justaインタビュー食のC2Cプラットフォーム 「ポケットマルシェ」がホラクラシーを導入した理由とは?(前編)

文責:松尾美里

全国の農家・漁師から旬の食べものを直接買えるプラットフォーム、「ポケットマルシェ」。現在、約1700名の農家・漁師が登録しており、2800品を超える、こだわりの食材をスマホから簡単に出品することができます。食材は生産者から直接送られるので、消費者は新鮮な状態で味わえます。食べものと、その背後にあるストーリーを提供することで、生産者と消費者が信頼のもとにつながっていく。そんな「食のC2Cプラットフォーム」です。ポケットマルシェというサービスを貫くのは、創業者・代表の高橋博之さんの「一次産業を取り巻く社会課題の解決に寄与したい」という思いがあります。

今回Justaでインタビューさせていただくのは、ポケットマルシェでCOOを務める山口幹生さんとグロースを担当するTao Romera Martinez(タオ)さん。前編ではポケットマルシェの世界観や強み、ビジョンについて、後編ではポケットマルシェが導入している「ホラクラシー組織」のメリットについてお聞きしました。

――ポケットマルシェがめざす世界観は何ですか。

山口幹生さん(以下、山口):めざすのは「食べ物の分散型流通システム」の構築です。流通の歴史をひもとくと、戦後は安くて安定した供給、飢餓への対応を第一に、流通網が整備されていったことがわかります。しかし現在は、この流通網にほころびが生じています。たとえば、日本の食料自給率の低さ、そしてフードロス、生産者である一次産業の方々の収入が減り生活が疲弊していること。生産者人口は減少を続け、生産者と消費者は分断されつつあります。こうした状況の根本的な課題は、「生産者の顔が見えない」ということ。特に都会の生活では、彼らの存在を感じ取れず、彼らに対するリスペクトが減ってしまっているのです。

私は東北の復興支援で1年ほど現地にいました。そこではじめて漁師や農家の友人ができ、彼らがいかにカッコいいかを実感したのです。一気に生産者との距離が縮まった瞬間でもありました。生産者と消費者が互いにつながり、「この人から買っている」という信頼関係が日本全体に広がっていく。こうした状態を「分散型」と表現しています。

顔の見える関係が築けていることは、災害時にも、生産者・お客さんの両方に大きなメリットをもたらします。2019年は地震や大雨、台風などが起きました。その際、被災地の農家の方々から積極的に作物を買おうという動きが、ポケットマルシェのコミュニティ内で生まれていました。

このように、非常時において、作物を買ってくれている人との関係を築いておくことは大事になります。逆にお客さん側も、将来的には「食の安全保障」という問題にぶつかる可能性が高く、全国各地に食料を調達できる関係があるのは安心につながるはずです。

――ポケットマルシェのビジネスモデルは、生産者の課題に寄り添っていて、生産者も消費者もハッピーになれるモデルだと感じました。そこにはどんなこだわりがあるのでしょうか。

山口さん:よく聞かれるのが、「このサービスはお客さん(消費者)のためなのか、生産者のためなのか?」という質問です。私は「どちらも」と答えています。いままではお客さんのニーズに応えることが第一という風潮がありました。ですが、今後シェアの文化の広がりとともに、両者の対等な関係こそますます大事になると考えています。たとえば、生産者自らが値付けでき、お客さんを選べるのも、対等な関係を意識したからこそです。

――生産者と消費者をつなぐために、どのような工夫をされていますか。

Tao Romera Martinezさん(以下、タオ):大事にしているのは、生産者さんとお客さんが直接コミュニケーションをとれ、関係性を深められること。私はGrowthを担当していますが、UIの設計や新機能の追加においても、「コミュニケーションが生まれやすい状況をいかにつくるか」を軸にしています。たとえば、コミュニティやメッセージの機能を通じて、生産者においしい食べ方や生産活動における工夫を聞いたり、消費者がお礼を伝えたりできるのも、その一環です。食材の購入はあくまで第一歩で、そこから先のインタラクションの設計が大事。ポケットマルシェは単なるECサイトではなく、信頼できる関係性を築くプラットフォームだと意識しています。

また、オンライン上に限らず、フェイス・トゥ・フェイスで生産者とお客さんが交流できる「リアルマルシェ」という場づくりも行っています。今後もさまざまな交流の場を増やしていきたいですね。

――現在日本でも、スキルシェアや多拠点生活提供など、シェアリングエコノミーサービスが浸透しはじめています。そのなかで、ポケットマルシェが様々なメディアの注目を集めており、メルカリからも出資を受けるなど、加速度的に成長している理由は何だとお考えですか。

タオ:成長に向けてできることはまだまだありますが、ポケットマルシェの理念やビジョンへの共感が大きいと感じています。ポケットマルシェのストーリーに心を動かされ、サービスを使い始めたという人が多いのではないでしょうか。

最近では、農漁業の課題解決につながるという文脈で、メディアに取り上げられることが多いですね。たとえば、珍しい魚でありながら、儲からないという理由で市場に引き取ってもらえない未利用魚、そして規格外の野菜の販売によるフードロスの防止などです。

山口:投資家の中には、私たちのビジョンに共感し、その社会的インパクトが世界に広がっていく未来を見据えている方々が多いですね。また、食料品の流通チャネルのEC化率が高まり、C2Cが拡大する現在、その根幹にある「コミュニケーション」や「つながり」への注目は高まる一方です。そうした情勢を鑑み、ポケットマルシェにビジネスとしての成長性を見出してくださる投資家の方々もおられますね。

ホラクラシーの運営に関する後編につづく

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