食のC2Cプラットフォーム「ポケットマルシェ」がホラクラシーを導入した理由とは?(後編)

文責 松尾美里

全国の農家・漁師から旬の食べものを直接買えるプラットフォーム、「ポケットマルシェ」。現在、約1700名の農家・漁師が登録しており、2800品を超える、こだわりの食材をスマホから簡単に出品することができます。食材は生産者から直接送られるので、消費者は新鮮な状態で味わえます。食べものと、その背後にあるストーリーを提供することで、生産者と消費者が信頼のもとにつながっていく。そんな「食のC2Cプラットフォーム」です。ポケットマルシェというサービスを貫くのは、創業者・代表の高橋博之さんの「一次産業を取り巻く社会課題の解決に寄与したい」という思いがあります。

今回Justaでインタビューさせていただくのは、ポケットマルシェでCOOを務める山口幹生さんとグロースを担当するTao Romera Martinez(タオ)さん。前編ではポケットマルシェの世界観や強み、ビジョンについて、後編ではポケットマルシェが導入している「ホラクラシー組織」のメリットについてお聞きしました。

前編はこちら リンク

――ここ数年、新しい経営手法「ホラクラシー」に注目が集まっています。御社でとられているホラクラシーの仕組みについて、簡単に紹介していただけますか。

タオ:ホラクラシーが実現した組織とは、経営層・マネジメント層のマイクロマネジメントがなくても、組織の目的実現に向けて、メンバー一人ひとりが力を発揮できる組織のこと。日本ではホラクラシーの実践例は少なく、私たちのようにほぼ完全にホラクラシーに則っている組織は数社くらいだと思います。

――ホラクラシーを取り入れた狙いは何ですか。

山口:サービスを成長させるには、メンバー一人ひとりの経験や知恵をサービスに反映させていくことが不可欠だととらえています。では個々人が力を発揮しやすい組織風土やマネジメント体制はどのようなものなのか。この問いについて考え続けるなかで知ったのが、ホラクラシーという手法でした。前例がないビジネスをしているなら、組織のあり方も新しい挑戦をしてみようと。

タオ:ホラクラシーの導入を検討し始めたのは2019年の3月頃。10名ほどの組織だったのが、業務委託も含めて一気にメンバー数が約3倍に拡大し、どんなマネジメントが必要なのかを模索していた時期です。ホラクラシーのコンセプトを調べるうちに、私たちの現状の改善につながると考えました。とはいえ最初は、何から導入すればいいのか疑問だらけ。ホラクラシーに関するフェイスブックページを参考に進めました。その後、現在のロール(役割)をすべて洗い出すなどの準備期間を経て、8月にスタートとなりました。

導入してまず感じたメリットは、ロールの目的、責務、内容、担当者が明確になるので、誰に依頼したらいいかがすぐにわかること。誰が担当すればいいかわからなくて拾えていない業務や重複していた業務がなくなりました。また、「見えない業務」を可視化できたことで、日々の業務が整理されていったのは大きな収穫です。

――まだ馴染みの薄いホラクラシー導入や定着までの道のりは大変だったのではと思います。それを乗り越えられた要因は何でしたか。

山口:ホラクラシーマスターというロールを担うタオさんが、「ホラクラシーを実現させよう」と強い思いをもっていたことだと考えています。会議の進め方も独特のルールがあるので、最初はそれを省略したがる人もいました。ですが、タオさんは、「まずはルール通りにやってみよう」と、ルールの書かれた紙を提示し、粘り強くその意義をみんなに呼びかけてくれました。そうするうちに、まるでボードゲームをやっているような感覚で楽しみながら、ホラクラシーのスタイルに慣れていったように思います。

――ホラクラシーを導入してから組織にどんな変化がありましたか。

タオ:目的ごとのチームを「サークル」と呼びますが、サークルごとにプロジェクトの優先順位を決める責務をもつ「サークルリード」がいます。そのため、優先順位づけで迷うことが一気に減りました。それに、新しくジョインしたメンバーは、誰がどのロールを担当しているかがすぐわかるので、相談や依頼がしやすいといいます。こうしたことが働きやすさの向上につながっています。

山口:ホラクラシー導入の効果としては、トップマネジメントの意思決定がしやすいという点があります。サークルが独立していて、誰がどのロールを担っているかが可視化されているので、サークルごとにどうリソース配分をするか、どんなロールを増やすかといったことを決めやすいのです。

――これだけ良い組織のあり方を模索している点から、ポケットマルシェが人材や組織文化を大事にしているのが伝わってきます。

山口:ホラクラシー組織だと、今後、多様で柔軟な働き方が増えていくことに対応しやすいと考えています。たとえば週3で働きたいという方、「半分農業・半分エンジニア」という働き方を望む方。これからは、ポケットマルシェのミッションに共感していて、そのうえで価値観や状況がさまざまな人と協働していくことになるでしょう。その際、信頼関係をしっかり築きながら、ロールという考え方でタスクを分担していけば、組織全体としてより大きな力を発揮できるのではないでしょうか。

――御社のようなホラクラシー組織で力を発揮するためには、どんなマインドが求められますか。

タオ:自主的に働く意識が重要だと思います。個々のメンバーは自分のサークルとロールの目的のために仕事をします。それぞれのロールの具体的なタスクは、自分たちで決める必要があります。ですので、「自分で自分の仕事をつくる」というマインドがある方には、働きやすい環境だといえます。また、自分でタスクをつくり出すのに慣れていないときは、周囲にどんどん相談するといいでしょう。ポケットマルシェにはオープンに相談し合える空気がありますから。

また週に一度、お酒を片手に、メンバーが仕事上の成功体験を共有し合う「winセッション」という交流会を開いています。この交流会が、自分のロールで悩んでいることを相談し、アドバイスし合う場にもなっています。もし、ホラクラシーの導入を検討するなら、導入している会社を実際に見学し、会議の進め方などを体験することをおすすめします。

山口:ホラクラシー導入によって、メンバーの力を結集させながら、第一の目標は、ポケットマルシェを日本各地に広げていくことです。将来的には、東アジアを中心に世界へとポケットマルシェを広げていき、途上国の一次産業の課題解決にも寄与していけたらと思っています。

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