外国人起業家が日本で起業しやすい世の中にするには? Startupjapan.workの挑戦に迫る

文責:松尾美里 外国人起業家が日本で会社を立ち上げたいときや、海外のスタートアップが日本に進出したいときに、法律や慣習、言語面のハードルが起業のネックになっている――。そんな課題を解消し、外国人起業家の挑戦を法務・慣習・言語などの面から実務的にサポートしているのが、Startupjapan.work(https://startupjapan.work/)です。人材のダイバーシティを促し、日本のスタートアップ・エコシステムを成長させるうえで欠かせない存在といえるでしょう。 Startupjapan.workの創業者である田中美帆さんに、事業のめざすもの、公的機関とのコミュニケーションにおけるポイントを中心にお話をうかがいました。 ――まずはStartupjapan.workの事業概要を教えていただけますか。 外国人起業家の方々に、会社設立やビザ取得、融資、補助金など、政府が拠出する資金の調達に関する情報を提供しています。クライアントとなるスタートアップの業種はIT系が多く、国籍はアメリカ、ドイツ、スイス、インドなど実にさまざま。事業内容や起業家のビザ取得状況に応じて必要な手続きを考え、そのスタートアップの一員のように行動し、伴走しています。 ――この事業を始めようと決めたきっかけ・動機は何でしょうか。 もともと、東京開業ワンストップセンター(Tokyo One-Stop Business Establishment Center : TOSBEC)の運営に関わっていました。同センターは、東京都と内閣府によって2015年に共同設立された機関で、法人設立や事業開始時に必要な行政手続き(定款認証・登記・税務・年金/社会保険・入国管理)をワンストップで行えます。なかでも外国人起業家の誘致を進めており、バイリンガルのサポーターを置くなどしていました。ですが、外国人起業家への周知には課題が残ったまま。 そこで、私がスタートアップ出身でかつPR経験や英語力があることを活かし、PR・広報のマネージャーとして、外国人起業家と専門家をつなぎ、数十回にわたるイベントを開催してきました。大事にしていたのは、起業家の真に困っていることに耳を傾け、彼らが興味のあるテーマを専門家の先生たちに伝えて、イベントの企画に活かすなど、両者の架け橋になることでした。 この活動はうまくいっていたものの、外国人起業家の方々が直面する課題解決には時間がかかっていました。起業家と同じ目線で一緒に手続きをクリアしていくほうが、より実地に根差したサポートができるのではないか。そんな考えのもと、Startupjapan.workの事業をスタートさせたのです。 ――外国人起業家または海外のスタートアップが日本進出時に直面しがちな課題とは何ですか。 外国人起業家は主に次の3つの側面で課題を抱えています。 まずは法務面。他国ではオンラインで完結する手続きでも、日本の場合は判子や印鑑証明書、サイン証明書など、紙でのやりとりが必要なことが多く、煩雑になりがち。そのため、登記申請一つとっても時間がかかってしまい、「いま会社を設立しないと、この取引先と契約が締結できない」「資金調達に問題が生じる」といった状況に、うまく対応できないのです。海外に目を向けると、オンラインのみで約2時間で会社設立ができるような国もあるため、それとは対照的といえるでしょう。また、専門家に相談したものの、「その領域は専門外」といわれて結果的にたらい回しにされてしまい、課題が解決されないと悩む起業家も少なくありません。 次に慣習面では、社内調整や決断に時間がかかってしまい、スタートアップのキャッシュフローの実情に合っていないという課題が挙げられます。一定の規模の企業なら数カ月間収入がなくても問題ありませんが、スタートアップではそんなスピード感では資金が底を尽きてしまう恐れもあります。 最後に言語面では、あらゆる情報が日本語ベースという課題があります。特に法律関連の文章は日本語のネイティブでも理解しづらい内容で、これが起業のハードルにもなっています。 ――そうした課題を乗り越えるには何が必要なのでしょうか。Startupjapan.workがはたしている役割についても、お聞かせください。 法務面で大事なのは、各機関の機能や動き方を把握して、手続きを完了させるためのより良いルートをつかんでおくことです。具体的には、公証役場、法務局、税務署、出入国管理庁などです。 たとえば、外国人起業家が観光ビザしかもっていない場合、日本で会社経営をするにはスタートアップビザか経営管理ビザが必要です。とはいえ、これらのビザをすぐに取得できない場合が多くあります。法にふれることなくこの問題をクリアする方法はあり、例えば日本政府が推進している高度人材ビザがあれば会社経営も可能になります。こうした情報が外国人起業家のもとになかなか届いていないのが現状です。 法務や税務などの専門家は、法律上、自分の関われる領域が決められていることもあって、複数の領域を横断した相談には答えられないのが実情です。そこで、「こういうケースならこういう機関でこうした手続きをとればいい」などと、実務面を包括的に支えていくことが私のミッションです。 また、日本語でしか存在しない起業家向けの情報について英語での発信をしています。(リンクはこちら。https://startupjapan.work/news-notes)この活動を続けることで、言語の壁による情報格差をなくしていきたいですね。 ――外国人起業家が公的機関からの支援を得たいときなど、公的機関とうまくコミュニケーションを図るためのポイントは何ですか。 適切な質問と自分が得たいアウトプットを知らずして公的機関の窓口で手続きをしようとすると、「難しい」「できない」という返答しか得られないこともしばしば。ですが、スタートアップに「NO」はありません。そこで、Startupjapan.workでは、適切な回答が得られるように事前リサーチを入念に行い、決定機関がどこかを理解し、クライアントが希望するゴールに出来る限り早く到達できるルートを探してお伝えするようにしています。 また、具体的な実績をはっきり示すことも重要です。私自身も各機関の専門家に信頼していただけるよう、実績を出すことを優先してきました。それが扉を開ける原動力になります。 ――田中さんがこの事業を始めてから醍醐味だと感じていることは何でしょうか。 やはりクライアントからダイレクトに「ありがとう」といわれることが増えたのが嬉しいですね。現在は主にLinkedIn経由で依頼をいただいていますが、口コミによる依頼も増えています。できるだけはやく会社をつくりたいというクライアントが、無事設立に漕ぎつけたときには、本当に喜んでくださいます。「わからなかったら美帆に聞こう」と、起業の「第一歩目を一緒に歩む仲間」のように思ってもらえたら本望です。  ――これから女性で起業を検討している方に向けて、アドバイスがあればお願いいたします。いずれは「女性」とくくる必要もなくなると思うのですが、何かしら背中を押せることがあればと思います。 誰もが納得する結果を出すことでしょうか。周りからの信頼を得られるまでは、数字と実績を示すこと。古い伝統にとらわれている日本の職場では、若い女性社員がお茶出しやコピー取りをする場面を今でも見かけます。ですが、本来私たちの能力や時間はそうした業務に費やされるべきではありません。いちばん貴重な資産は「時間」です。自分がやりたいものの結果を出すためにコミットする時間を増やせるような時間配分をめざすこと。そして周囲の理解を得られるように成果を示すことが大事だと考えています。 ――最後に、田中さんの今後のビジョンをお聞かせください。 まずは外国人起業家が、言語の壁による情報格差から法外なフィーを請求されないこと、そして日本人と同等の機会を得られるようにすることです。そして、スタートアップの事業スピードに沿ったサポートを展開することで、外国人起業家が日本で起業するのが当たり前の風景になればと思っています。

Skills in a startup: How to be a Founder?

These questions may be what most of the people considering to found a company may have asked. It may be needless to say, but to be a "good" founder, leadership is essential. Founders of companies need to be able to lead the company and their employees even when the companies grow larger rapidly.

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